メモリー再装着など

パソコンの電源を入れると、ピーとかピピピッと音がして起動しない、電源は入るが画面に何も表示されないということがあります。

メモリー増設後などに生じた場合は別ですが、前回まで普通に使用できていた、何も扱っていないのに起動しなくなるという場合は、帯電の可能性があると考えられます。

比較的事例が多く、メモリーの再装着などで回復することがあります。

ピーとかピピピッと音がして起動しない

パソコンの電源を入れると、ピーッとかピピピッと音がして起動しないということがあります。ビープ音と呼ばれるものです。

電源投入後に、まずハードウェアの接続状況や問題がないかどうか、POST(自己診断)が行われるのですが、この時になにか問題があるとビープ音が出ます。

音の種類は、メーカーなどによって違いがあるため、完全に統一されているわけではありません。また音が出ないパソコンもあります。

一般的にビープ音が出て、かつ画面に何も表示されないという場合、原因となっているパーツはメモリーが多いと考えられます。他のパーツの故障でも出ますが、HDD・SSD、光学ドライブ、電源などではまずビープ音は出ません。メモリーかグラフィック関連が最も多くなります。

また、マザーボードがビープ音を出すということは、言い換えればマザーボードは正常であるということもできます。

電源は入るがモニターに何も表示されない

電源は入るがモニターに何も表示されない、FANの音だけするということがあります。これらは、ビープ音が出ないパターンです。

このようなトラブルは、電源やマザーボードの故障でも起きることがありますが、特に古い機種でもなく問題なく使用していたパソコンでは、電源やマザーボードの故障は考えにくくなります。

マザーボードの故障かどうかを切り分ける方法のひとつとして、メモリーをすべて外して電源を入れるというのがあります。

メーカーにもよりますが、ビープ音がなるかならないかでマザーボードおよびBIOSが正常かどうか確認します。

つまり、ピープ音が出たらマザーボード・BIOSは正常と考え、メモリーの再装着を行います。ピープ音が出ない機種もあるため、その場合はメモリーの再装着のみ行います。

メモリーの再装着

パソコンの電源をOFFにして、主電源もOFFにします。基本的に電源ケーブルは取り外しておきます。静電気防止手袋を付けるなど静電気対策を行ってから作業します。メモリーの増設などと同様、慎重に行います。

デスクトップパソコンのケースを開けて、メモリーとメモリースロットを確認します。

メモリーとメモリースロット

メモリーを取り外します。

メモリーの取り外し

取り外したメモリー。再装着します。

取り外したメモリー

このトラブルは、デスクトップパソコンで生じやすい、秋や冬など空気が乾燥する時期に起きやすい、暖房器具を使い始めた時期に起きやすい、停電やフリーズなどパソコンの電源が強制的に切れたときに起きやすいという傾向があります。

一般論として電子機器・半導体は、電圧をかけたとき電子が移動し電流が流れます。

メモリー周辺、あるいはマザーボードで帯電していると、静電気力の影響で局所的に電流が流れないところが出て、メモリーやマザーボード上で動作不良が生じ、画面に何も表示されないということになっていると考えることもできます。

そのため、メモリーの再装着以外でも、ボタン電池の取り外し、グラフィックボードの再装着などでも、放電ができる可能性はあります。単に取り外ししやすいパーツがメモリーである、メモリー周辺で帯電している可能性があるという点で、メモリーの着脱が最も分かりやすいといえます。

パソコンメーカーでも帯電による起動不良は認めており、トラブルシューティングとして掲載していることもあります。

実際の事例やメーカーの情報などをまとめると以下のこのようになります。

  • 電源ケーブル・周辺機器・バッテリーなどを外し、しばらく放っておく
  • ノートパソコンの場合、バッテリーを抜いてACアダプターでの起動を試みる
  • メモリーの再装着(汚れていたらきれいにする)
  • メモリースロットを変えて装着する
  • CMOSクリア・BIOSの電池を外す

パソコンによっては、パソコン内部やメモリー・メモリースロットに埃がたまっており、クリーニングが必要なことがあります。一般的に、埃が多いと帯電したりトラブルが生じやすくなります。CMOSクリア・BIOS電池を外すというのは、最終的な方法になります。やや上級者むけです。

このような作業をしても起動しない場合は、メモリーあるいは、電源やマザーボードの故障が考えられます。メモリーそのものが故障しているかどうかは、メモリーテストで調べることができます。

再発防止策としては以下のような点があげられます。

  • パソコン内・メモリー周辺のクリーニング
  • メモリースロットの変更
  • BIOSアップデート(メーカーで公開されていないか確認)

起動しないトラブルでは、その原因が必ずしも帯電であるというわけではなく、メモリーやメモリースロットの故障、電源やマザーボードの故障が原因になっていることもあります。

ただ帯電と考えられる事例が多いことから、緊急に復旧させたい場合などは、静電気対策などを行いメモリーの再装着などを試してみることになります。