VAR.S関数(不偏分散)

バリアンス・エス

VAR.S関数は、データの不偏分散を返す関数です。不偏分散とは、データのばらつきの大きさを表す指標です。

一般的に母集団の標本データの分散を算出する際に用いられます。VAR.SのSは標本 sampleの意味。

例:VAR.S関数を入力。引数にセル範囲を指定。

VAR.S関数

Enterで結果が表示されます。不偏分散は159.6となります。

不偏分散

不偏分散の公式。B14に平均、D列に偏差、E14に偏差平方和、E16に公式による分散、G4の関数による分散と一致します。

不偏分散の公式

まとめると、不偏分散は以下の方法で求めることができます。

  1. データの値から平均値を引く(偏差)
  2. 1を2乗
  3. 2乗した数値をすべて足す(偏差平方和)
  4. 3を(データの個数-1)で割る

分散と算出方法はほとんど同じですが、4の部分が異なります。

分散は、偏差平方和をデータの個数で割ります。一方 不偏分散は(データの個数-1)を使います。

一般的に、母集団から標本をとり 分散を算出すると、本来の母集団の分散より低くなることが知られています。これはシミュレーションなどでも確認されています。そのため、標本データの場合は(データの個数-1)を使うことで、数値をやや大きくする、補正を行います。不偏分散の不偏というのは、偏りのないという意味です。

例えば、分母25・分子10は25/10で、2.5ですが、分母25・分子(10-1)は25/9で、2.78のようになります。

不偏分散は、母集団から標本をとり 母集団の傾向などを確認・分析する推測統計などで主に使われています。

VAR.S関数と類似した関数に、VAR.P関数があります。VAR.S関数は 偏差平方和をデータの個数から1引いた(n-1)で割りますが、VAR.P関数は 偏差平方和をデータの個数で割ります。