CPUの冷却
パソコンパーツの中で最も発熱するのは CPUです。そのため、パソコンには必ずCPUクーラーが取り付けられ冷却が行われています。
CPUクーラーを取り付けていないと以下のようになります。
- CPUファンのケーブルがマザーボードに接続されていないため、起動時にエラーが出る。
- 電源投入後、数分でCPUが高温になるため、BIOSで保護が働き電源が落ちる。
このページでは、CPUクーラーの仕組み、種類、一般的な取り付け方法について解説しています。
仕組み
CPUクーラーの基本的な構造は、ヒートシンク、CPUファンとなっています。またCPUとヒートシンクの間に、CPUグリスが塗られています。
一般的なCPUクーラー。
ヒートシンクとCPUファンの2つで成り立っています。この2つはネジなどで固定されています。
ヒートシンクの裏側のCPUとの接着面には、CPUグリスが塗られています。
CPUとヒートシンクの間に空気などの隙間がないようにすることで、CPUの熱がヒートシンクに効果的に伝わりやすくなります。
CPUの熱がヒートシンク(金属)へ伝わり、CPUファンが風を送り込むことで冷却します。
ヒートシンク
ヒートシンクは、CPUからの熱を吸収する役割があります。吸収した熱を冷却しやすいよう、いくつもの板、フィンになっています。
使われる金属は、主にアルミやステンレス、銅があります。銅はアルミやステンレスより、熱伝導率が高くなります。
全銅製のものもありますが、通常はアルミやステンレス、もしくは中心が銅でそれ以外がアルミなどです。
ヒートシンク。
IntelのCPUクーラーは、主にアルミ製ですが 世代や型番によって銅が使われているかいないか異なります。また低消費電力の一部のCPUでは、ヒートシンクが薄型になっているものもあります。
CPUファン
CPUファンの役割は、ヒートシンクに風を送り込むことです。
デシベル dB
市販されているCPUクーラーは、どのぐらい音が出るのか 単位としてデシベル(dB)が使われます。
10dB~15dB(超静音)、16dB~20dB(静音)といわれています。静音のものにすると負荷時にファンの回転数が上がっても音がほとんどしないというメリットがあります。
CPUクーラーやCPUファンの仕様に記載されています。
形・大きさ
ほとんどのCPUファンは 8cmや12cmのものが使用されています。あまり事例が多いわけではありませんが、ネジで固定されているタイプのものは、CPUファンの付け替えを行うこともあります。
丸型の8cm CPUファン。
四角の8cm CPUファン。上の丸型のCPUファンから交換したところ。
マザーボードとの接続
CPUファンはマザーボードから電源を取ります。
マザーボードのCPUの近く、CPUファン専用のコネクタに接続します。CPU_FANなどと記載されています。
CPUの近くに、必ずCPUファン用のコネクタがあります。4ピンになっています。
4ピンと3ピン
CPUファンの電源ケーブルには、4ピンのものと3ピンのものとがあります。近年は ほとんどが4ピンのものになります。
4ピンのものは、3ピンのものに PWMという機能が追加されています。PWMは、Pulse Width Modulationの略でパルス幅変調といいます。
PWMは、CPU温度に応じてファンの回転数を制御することができます。温度に応じて回転数を自動的に制御するため、省電力化、静音化などにつながります。
3ピンのケーブル。
マザーボード側が4ピンでも接続はできます。マザーボードのCPUファン回転数制御などの機能は基本的に使用できません。
4ピンのケーブル。
BIOS・UEFIで、CPUファン回転数制御を行うことができます。古いマザーボードでは使えない時もあります。
ASUSのBIOS画面 例。
Q-Fan Controlにて有効・無効、動作モードを選択することができます。
グリス
リテール品のCPUに付属しているCPUクーラーや市販されているCPUクーラーには、はじめからCPUグリスが付いていることがほとんどです。
Intel純正のCPUクーラー。
AMD純正のCPUクーラー。
ただパソコンの使用期間が長い、使用頻度が高いという場合は、CPUグリスが乾燥したりして効果が落ちることがあるため、塗り直しを行うことがあります。
CPUグリスは、別売りで市販されています。
グリスによって熱伝導率に違いがあります。
取り付け
CPUクーラーのマザーボードへの取り付け方法は、大きく分けて2種類あります。
プッシュピンタイプとバックプレートタイプです。
プッシュピンタイプとは、Intel純正のCPUクーラーで使用されているのでインテルプッシュピンタイプともいいます。
バックプレートタイプは、マザーボードの裏にバックプレートを付けてCPUクーラーをネジで固定するタイプです。
プッシュピンタイプ。
固定に成功すると、マザーボード裏側は4箇所ともこのようにピン(黒)が出ます。
バックプレートタイプのCPUクーラー。マザーボードの裏に取り付けるプレートが付いています。
マザーボードの裏にバックプレートを取り付けます。バックプレートに特殊な両面テープが付いています。一度取り付けるとしっかりと固定されます。
ネジ穴をあわせてドライバーで固定します。
一般的にケースの反対側には、メンテナンスホールがあり、マザーボードを取り外さなくても CPUクーラーの交換ができます。
CPUクーラーをバックプレートタイプに変更する場合は、メンテナンスホールを使います。PCケースによっては、メンテナンスホールがないことがあります。
AMDは、マザーボード側にCPUクーラーを固定する リテンションをそのまま残して固定するものと、リテンションを外し取り付けるものがあります。
リテンション有りの状態。
リテンションを外した状態。CPUクーラーをネジで固定します。
AMDのCPUクーラーはいずれかの方法によって固定しますが、どちらの方法でもマザーボードにはもともとバックプレートが付いていることになります。
CPUソケット
CPUクーラーは、どのCPUソケットに対応しているかが重要になります。
IntelのLGA115XのCPUソケットは、ピン数が異なるだけで 基本的に一定の互換性が保たれており、Intel純正のCPUクーラーは相互に取り付けが可能です。
Intel 純正CPUクーラー。
AMDのSocket AM4も 基本的に互換性があります。
AMD 純正CPUクーラー。
リテンションをそのまま残して固定するものと、リテンションを外しCPUクーラーを取り付けるものがあります。
ただ、前述のように芯がアルミや銅の違い、ヒートシンクが薄型になっているものもあり、相互に取り付けができるとはいえ、発熱の多いCPUでは他のCPUで使われていたCPUクーラーが適していないということもあります。
CPUクーラーは、IntelやAMDの純正のもの以外にも、いくつかのメーカーが製造・販売しています。形やデザインは異なりますが、ヒートシンクとファンという基本的な構成は同じです。
Cooler Master CPUクーラー。
Intel Thermal Solution。
Intel プッシュピンタイプ、オーバークロックは不向き。
Cooler Master CPUクーラー。
SCYTHE CPUクーラー。
オーバークロックなどにも対応した冷却性能の高いものは、バックプレートやリテンションの取り付けなど やや上級者向けとなります。取り付け中に疑問に感じたら一旦作業を止め、マニュアルを十分に確認した上で 慎重に取り付けを行います。
対応のCPUソケットで使うのが基本となるため、現在使用しているマザーボードのCPUソケットの確認が必要です。また他に物理的にPCケース内におさまるか?他のパーツと干渉しないか?、ファンの大きさ、4pinか3pinか?冷却性能、dB デシベル(音の大きさ)などがポイントになります。
Intelの純正クーラーは、冷却に限界があるため、発熱や使用頻度によってはCPUクーラーを取り替えるということがあります。中古などCPU単体のみ購入した場合も別途CPUクーラーを用意する必要があります。