パソコンの原型ともいえる自作パソコン

パソコンを自作するというのは、自分で必要なパーツを揃え組み立てることです。組み立てられたパソコンを、自作パソコンといいます。

このページでは、自作パソコンにどのようなメリットがあるか?メーカー製パソコンと自作パソコンの違いは何か?自作パソコンに関連する用語を交えて紹介しています。後半は、マーケティング用語を用い 自作パソコンの分析を行っています。

修理やカスタマイズが容易にできる

修理やカスタマイズ メーカー製パソコンの場合、PCケース、マザーボード、電源がメーカー独自の規格で作られます。そのため数年後これらの部品が故障した場合、代替の部品を探すのがかなり面倒になります。

メーカー製PCの電源やマザーボードがどこかのPCパーツ店で販売されているか?というとまず販売されていません。そのため修理する場合はメーカーに出すしか方法がないということになります。メーカー修理の場合、修理期間が長くかかり、保障に入っていなければ修理費用も高額になるという傾向があります。

一方、自作PCの場合、構成するPCケース、マザーボード、電源などは統一された規格で作られています。それがATX、MicroATXと呼ばれる規格のことです。

こうした自作パソコンで使用されるパーツというのは、パソコンショップで購入することができます。

電源が壊れれば電源だけ交換することができますし、数年後PCケースを交換したければ交換することができます。つまり修理やカスタマイズが比較的容易にできるということと、安価にできるという特徴があります。

またハードディスクの交換・増設、SSDへの交換などもメーカーや専門の会社に頼まなくても多少の知識さえ身につければ、自分できるようになります。

つまり、ある程度知識を身に付ければ、自分でパソコンを管理することができるようになり、保守性や可用性を高めることができるということができます。

高い拡張性を持つ

拡張性自作パソコンは拡張性に優れるという特徴もあります。

拡張性に優れるというのはグラフィックボードやPCIカード、ハードディスクなどの増設や追加ができるということです。


ハードディスクを例にとるとメーカー製パソコンの場合、ほとんどの機種でHDDは1台までしか搭載されていません。あとから2台目のHDDを増設しようとしても、物理的にできないのです。

一方自作PCの場合は、PCケースにもよりますがATX型のケースでは、2台目3台目のHDDの追加は、ほぼ標準でできるようになっています。

ハードディスクの他に、グラフィックボード、TVチューナー、サウンドカード、CPU、メモリーなど用途に応じて様々なデバイスを交換・増設できます。

つまり、スペックを上げることができるということになります。

最新の技術・テクノロジーを体験できる

最新の製品 パソコン業界においては 新しい製品が出ると真っ先にパソコンパーツ店に商品が並びます。

例えば具体例をあげますと、Intelが新しいCPUを出せばすぐにパソコンパーツ店に登場します。また最新のチップセットを搭載したマザーボードも同様です。

メーカー製パソコンでこれらが採用されるのは、やや遅れてからです。

例えば以前、HDDで1プラッタ1TBの読み書きが高速なハードディスクが出たことがあります。しかし、メーカー製パソコンで 1プラッタ1TBのハードディスクが使われるというのは、ほとんどありませんでした。

SSDは特に顕著な例といえるかもしれません。

自作パソコンでは 早い段階でSSDを使い始めており メーカー製パソコンの多くがHDDを使っている現状とは対照的といえます。

グラフィックボードも自作パソコンならすぐに最新のものを使うことができるでしょう。

また液晶ディスプレイに関しても パソコンショップでは 23インチや21.5インチなどのフルHDが主流で、メーカー製パソコンではどうしても遅れて登場するか、採用されないかになります。

つまり、最新の技術・テクノロジーを搭載した製品を手に入れ、すぐに体験できるというのがあります。

OSを選択することができる

OS メーカー製パソコンではOSが限定されるという傾向があります。

Windows XPのパソコンを購入したら、Windows XP以外のOSには変更できないというのがあります。一部のメーカー製パソコンでは新しいOSが出たらアップグレードできることもありますが、基本は購入時のOSに縛られるというのがあります。

自作パソコンの場合は、OSを選択することができます。

例えば以前 XPとVistaと7のOSがあったときは、このいずれかから好きなOSにすることができました。

マザーボードにもよりますが、OSを変更したくなったら、今までWindows 7で使用していたパソコンを Windows 10にするということも可能です。

パソコンの仕組みを理解し覚えることができる

仕組み 自作パソコンというのは、ATXやMicroATXという規格で統一されています。

それぞれが独立したパーツでありながらも、協調して動作するというパソコンの本来の姿を理解しやすい構造になっています。。

メーカー製のパソコンは、こうしたパソコンの原型に手を加えオリジナルのサイズやデザインで販売しているということになります。

端的にいえば、簡単で単純なものを複雑にしているのがメーカー製パソコンです。

メーカー製パソコンのノートパソコン、ウルトラブック、スリム型デスクトップパソコンなどデザインや静音性は、非常に優れています。

そのため、すべてにおいて自作パソコンが優れているわけではありません。

しかし、本来のパソコンの仕組み・原型というものが見えなくなっているので、使用する側からするとパソコンのことがよく分からないということが長く続いてしまうことがあります。

自作パソコンの理解が深まれば、結果としてメーカー製パソコンのこともよく分かるようになってきます。

パソコンの自作を始めると、パーツの用意や組み立ての過程でパーツの名前やパソコン内部の仕組みに触れることになります。

どのパーツがどういう役割があるのか?どのようにしてHDDや光学ドライブがつながっていて動いているのか?など様々なことが分かるようになってきます。

こうした体験・経験の積み重ねがが少しずつパソコンそのものの理解を深めていくことになります。

そして徐々にではありますが、今までのように遅くて使いにくいパソコンで我慢する、パソコンの様々なトラブルに惑わされるということもなくなっていきます。

パソコンの理解が深まる、これが自作パソコンでは最大のメリットともいえるでしょう。

自作ユーザとは

自作パソコンのユーザーといっても、様々な人がいます。

まず時期が異なります。ある人は Windows 95、98の時代からパソコンやインターネットに関わり、比較的早い段階から自作していた人、Windows XPの時期に自作を始めた人、Windows 7や10の時代に始めた人など様々です。

次にきっかけも異なります。例えばパソコンショップなど仕事の影響、友人や知人のの影響、譲り受けたパソコンやBTOパソコンをカスタマイズしていたら自作パソコンに詳しくなった人などです。

次に関わり方というのもあります。

自作パソコンを保有しているが、インターネット検索などライトユースの場合もあれば、動画などのマルチメディア作成、情報発信も積極的に行う人もいます。またメインのパソコンはメーカー製のノートパソコンで、自作パソコンはサーバー的な用途で用いるという人もいます。

このように、ひとくちに自作パソコンのユーザーといっても、そのスキルや関わり方というのはかなり多様であるということです。

そのため、久しぶりに自作パソコンを作ろうと思ったら、テクノロジーが進歩していて用語や機能が分からないということもあります。

自作パソコンユーザーとはいえ、パソコンのことがすべて理解できているわけではないということです。

イノベーター理論

マーケティング用語に、イノベーター理論という言葉があります。

イノベーター理論とは、ある商品が普及するまでの過程を消費者の行動によって捉えたものです。消費者をイノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティなど5つに分類しています。

イノベーターとは革新者という意味です。新しい製品を冒険的・積極的に採用する人たちです。自作ユーザーで例えると、OS、チップセット、CPU、SSDなど新技術・新製品をかなり早い段階で入手します。ECサイトのレビューなども積極的に行うことが多いようです。保有している自作パソコンは多いと考えられます。

アーリーアダプターは、初期採用者という意味です。新製品が出たら自ら情報を収集して検討を行います。イノベーターのレビューを参考にします。イノベーターに比較すると得られる利益、すなわちベネフィットと、コストのバランスを吟味します。保有している自作パソコンは比較的多めです。

アーリーマジョリティは前期採用者という意味です。イノベーターやアーリーアダプターのレビューやメディアの情報がある程度蓄積してから検討に入ります。ベネフィットとコストのバランスを最も重視します。為替相場、タイムセールなどの影響で価格が下がると決断する傾向があります。自作パソコンは1台から数台保有している層です。

この次に続くのが、レイトマジョリティ(後期追随者)とラガード(遅滞者)となります。この層は、パソコンにトラブルが生じたときに、ようやく重い腰を上げるという感じです。予算的な兼ね合いや物を大切にする考えから、基本的に購入には消極的であると考えられます。

あるパソコンパーツが新たに発売されても、すべての自作ユーザーが購入するわけではありません。ほとんどのユーザーは見送ります。

発売されたちょうどその時に、新たに自作する、利用しているパソコンの構成をカスタマイズする、修理するという需要があるユーザーが購入します。

つまり、パソコンパーツが出るたびに、様々な自作ユーザーがその都度関わってきます。

自作パソコンはもともとが新技術・新製品を使えるという特徴があるため、概ねどのような時期においても、イノベーターやアーリーアダプターが存在します。先行者のレビューなどが多く参考にしやすいという傾向があります。

(イノベーター理論:米国 社会学者 エベレット・ロジャーズの提唱)

ブランド・ロイヤリティ

自作パソコンは複数のパソコンパーツで構成されており、パソコンパーツもそれぞれ複数のメーカーによって提供されています。そのため、パソコンパーツごとにメーカーは異なります。

どのメーカーを採用するかは、その人その人です。

信頼しているブランドを購入し続ける行動を、ブランド・ロイヤリティといいます。

ブランド・ロイヤリティは、自作パソコンを使っていると自然と形成されていきます。故障が起きず、何年も安定して使うことができれば、そのユーザーにブランド・ロイヤリティが形成され、次回もそのブランドを選択することが多くなります。コストが非常に低いにも関わらず、パフォーマンスが高いときも同様です。

逆に初期不良やサポートの対応、パーツ間の相性、早い段階で故障したりすると、次回はブランドを変更するということが多くなります。

また比較的低価格帯のメモリーやSSDなどでは、バラエティ・シーキング行動といわれるものもあります。

これは、今まで使っていたブランドに特に不満はないものの、様々なメーカーの製品を試みるというものです。

このようにどこのブランド、メーカーを使っているかは自作ユーザーによって多様であり、組み合わせも多彩です。

ただCPUに関しては、IntelかAMDしかありませんので、選択の余地はほとんどありません。ある意味、この2つのメーカーの信頼の上に自作パソコンは成り立っています。CPUに関しては、世代やモデルによって多少の差異があるといえます。

製品ライフサイクル

どのような製品も、市場に出てきたあと最終的には姿を消していきます。製品の発売されている期間を製品ライフサイクルといいます。

製品ライフサイクルを持つ代表的なものは、OSになります。

OSは、MicroSoftから提供されますが、発売期間とサポート期間はほぼ同じです。サポート期間が終わる少し手前で、発売も停止されます。

OSのサポート期間内は、基本的にその自作パソコンを運用することができます。故障があれば、パーツの変更などで対応します。

OSのサポート期間を過ぎた場合は、マザーボードに着目します。マザーボードにドライバがあれば、OSを入れ替えることで対応することができます。概ね他のパーツは、すべて使えます。

もし仮に、新しいマザーボードにドライバがない場合は、マザーボード、CPUの変更とOSの変更を同時に行います。このパターンでも概ね他のパーツはそのまま使うことができます。

つまり、自作パソコンでは、OSの製品ライフサイクルが終わったとしても、他のハードウェアが使えることが多いため、メーカー製パソコンのようにパソコンそのものの運用ができなくなるというわけではありません。

また市販されているパソコンパーツは、導入期から衰退期という一般的な製品ライフサイクルにより最終的に販売されなくなりますが、中古市場などで流通することも多いため、自作パソコンに組み込むということもできます。