基本的な流れ

パソコンの自作では、概ね準備、組立・OSインストール・動作確認という段階に分かれます。

自作パソコンの組み立ての方法や考え方というのは、人によって多少ばらつきがありますが、ある程度 一般論というのがあります。

このページでは、自作パソコンに取り掛かる際の基本的な項目、組立における注意点、BIOSやソフトウェアについて解説しています。

本や雑誌などで予備知識を付けておくと、パソコンを組み立てるときもスムーズに進むことがあります。

また、パソコンを自作する予定がなくてもパソコンの構成や仕組みを理解したり、最近のパソコンパーツの動向などを知ることもできます。

パーツ選び

パーツ選びでは、基本的にCPUから選ぶことが多くなっています。

例えば、Intelのラインナップでいえば、Core i7、i5、i3、Pentium、Celeron、AMDでは Ryzen9、Ryzen7、Ryzen5、Ryzen3、Athlonなどです。

CPUCPUから選ぶのは、性能と価格差が大きいためです。

スピードはSSDがあるため、それほど大差は感じませんが、パワーに関してはやはりCPUで決まるといっても過言ではありません。

CPUが決まると、チップセット、マザーボードが決まります。これでパソコンの中核が確定します。またCPUがグラフィック機能を内蔵していない場合は、グラフィックボードを追加します。

必ずしもこのような決まりがあるというわけではなく、人によってはチップセットやマザーボードの型番を先に決めることもあれば、SSDやグラフィックボードを重視するということもあります。

パーツ選びで最も気をつけるべき点は、CPUとチップセットの組み合わせに間違いがないかどうかです。最終的な確認は、メーカーのWebサイトやパッケージなどでマザーボードの対応CPUで必ず行うようにします。

ドライバー

組み立ては、1本のプラスドライバーで行うことがほとんどです。星型のトルクスドライバーなどの特殊なドライバーを使うことはまずありません。

また、ドライバーは磁気帯び・マグネットタイプのほうが、スムーズにいきます。

磁気帯びのドライバーでトラブルが起きるということは、ほとんど事例がありません。むしろ磁気帯びではないドライバーを使用すると、パーツ上に何度もネジが落ちたりファンの中に入ったりして、トラブルを誘発する可能性が高くなります。

注意点としては、ドライバーをマザーボードの基盤などに無駄に接触させないことです。ドライバーにはネジだけを付けます。そしてそのまま固定する箇所に近付けて留めます。

ベッセル製 ドライバーセット。ファミドラ8。マグネットタイプ。マイナスドライバーは必須ではありませんが、あると役に立つことがあります。



ベッセル製 プラスドライバー。マグネットタイプ。プラスドライバーは大きさにより 1番と2番、また長さもあります。持ちやすさ・使いやすさなど やや好みの問題になります。

M2スロットのネジやノートパソコンは、主に0番です。

スペース

パソコンの自作・組み立てでは、ある程度のスペースがあったほうがよいです。

机の上机の上で行うということが多いようです。

狭いところでは作業がしずらいということがあります。また、飲み物や関係のないものは、できるだけ遠ざけて作業します。机の上で行う際は、一度机の上を整理し余計なものをなくし、きれいに掃除してから行うのがよいでしょう。

注意すべき点としては、パソコンパーツを雑に扱わないということです。

ハードディスクを音がたつようにおいたり、パーツとパーツをそのまま重ねておいたり、いずれも故障の原因となります。

布やプチプチ

自作パソコンでは、マザーボードを準備してCPUやメモリーの取り付けから始めます。

マザーボードをそのまま机の上や台の上に載せてしまうと マザーボード裏の基板が傷付いたり、CPUクーラーの取り付けで支障が出る可能性があります。

雑誌などで、マザーボードの箱の上にマザーボードをおいて作業しているシーンがありますが、これは慣れた人や上級者向きです。

初めて自作したり 安全に作業を進めたいという場合は、やや厚さのあるプチプチなどを敷いて行うほうがいいでしょう。

プチプチ例1:プチプチの上にマザーボードを載せる。

布例2:布の上にマザーボードを梱包していた袋を敷いて、マザーボードを載せる。

また、PCケースを横にしてマザーボードを取り付けたりする際も、ケースの下は布などを敷いたほうがよいです。これはケースをずらしたときに傷などが付くことがあるためです。

これはメーカー製のデスクトップパソコン、ノートパソコンでも同様です。

手袋

パソコンパーツは、そう簡単に壊れることはありませんが、素手で触るのはあまりよくないと言われています。これは静電気のことです。

パソコンパーツの中でも基盤や端子が露出してるのは、マザーボードやメモリーです。CPUやハードディスク、グラフィックボードは半々です。

静電気対策は、組み立て前に金属製のものに触れておくというのがありますが、基本的な対策としては静電気防止手袋があげられます。

特に近年のマザーボードでは、ノースブリッジとその上のヒートシンクがなくなっているため、マザーボードそのものが以前に比べ非常に掴みにくくなっています。

ヒートシンクLGA775などのマザーボードでは ノースブリッジのヒートシンクを掴んでマザーボード全体を扱えました。

マザーボード近年のマザーボードでは ノースブリッジがCPUの機能になっているため マザーボード上にチップセットやヒートシンクはありません。

基本的に掴むところはほとんど無いと考えていいでしょう。


静電気対策用手袋 サイズ M。

もちろんCPUクーラーを取り付ければ しっかり掴めるのでそれほど心配する必要はないのですが、マザーボードを袋から取り出したり 他のパーツも扱う際は、できるだけ手袋は用意しておいたほうが無難です。

ただ Intel製のCPUをCPUソケットに取り付ける際は、基本的に素手で行います。

静電気防止手袋の材質などにもよりますが、マザーボード側のCPUソケットのピンに手袋の繊維などがわずかに触れるだけで 引っ掛かり、ピン曲がりを起こすことがあります。

リスクが高い、事例が多いということです。

そのため、いくつかの自作パソコンショップ(例:TSUKUMO)やメディア(例:ASCII.jp)では素手で取り付けを行う方法で解説されています。

空箱

パソコンパーツは、購入時に付属品とともに箱、パーケージに入っています。

一定の保証期間があるため、購入時のレシートや保証書、空箱などは保存しておいたほうがよいでしょう。

自作パソコンでは、あとでCPUの交換、マザーボードを交換して組み立て直すということもあり、使用していたパソコンパーツを買い取りに出すことがあります。

いくつかの中古パソコンパーツ店などでは、買取上限価格というのが設定されています。例えばマザーボードであれば、I/Oパネル、SATAケーブル、CPUソケットカバー、マニュアルなどの付属品の有無によって価格が変わり、欠品があれば買取上限価格から差し引かれていくような仕組みになっています。

マニュアル

パーツの取り付けや配線など不明な点は、PCケースやマザーボードに同梱されているマニュアルを見ることになります。

例えばPCケースでは、スペーサーの固定箇所、パーツを固定するネジの種類、SSDやHDDの取り付け場所などマニュアルに記載されていることが多くなっています。

マザーボードでは、メモリーを取り付ける場合の推奨のメモリースロット、フロントパネルコネクタの接続、マザーボード上の端子の種類や場所などが明記されています。

自作パソコンでは、規格がある程度共通しているため メーカーや型番が違ってもマニュアル見ずに組み立てができることがありますが、メモリースロット、フロントパネルコネクタなど要所となる部分は、マニュアルでも確認を兼ねていたほうがいいでしょう。

電源

組み立ての途中では、何らかの理由で内部にアクセスすることがあります。例えば、電源ケーブルをまとめるため結束バンドを使う、ハードディスクやグラフィックボードを追加するなどの作業です。

主電源このような時に配慮しておくべき点は、主電源を必ずOFFにするということです。-がON○がOFFです。

単に電源がOFFになっているだけではなく、電源ユニットの主電源をOFF、主電源をOFF後 数秒待つ、ケーブルも外しておくなどの慎重さがあってもよいといえます。

主電源をOFFにしておかないと、ケースに触れたりなど何かの拍子に電源がONになる可能性があることと、スタンバイ電源が流れるということです。スタンバイ電源はわずかですが、5V給電されています。マザーボードのLEDの点灯などがこれにあたります。

マザーボードに給電されている状態で、パーツを抜き差ししたりするより、主電源をOFFにして行った方が安全であるといえます。

これは自作パソコンの組み立て時だけではなく、後からパーツを増設したりする時にも当てはまります。

BIOS・UEFI

自作パソコンの過程で 最も重要なポイントとなるのは、BIOS・UEFIの起動です。

BIOS・UEFIが起動できるかどうかが、工程の半分、OSインストールの準備が整ったかどうかという確認地点になります。

自作パソコンに限らず、メーカー製パソコンでも、そのパソコンのトラブルはどこにあるか?基本的なハードウェアの起動ができるか?を確認するときは、BIOSを使います。

一般的にBIOSは、電源マザーボードCPUメモリーに問題がなければ起動させることができます。光学ドライブやSSD・HDDなどはそれほど重要ではないということです。

起動せずに故障したと考えられるようなパソコンでも、BIOSが起動できる場合は、完全に故障しているというわけではなく、SSD・HDDなどを入れ替えるとパソコンとして使用できる可能性がまだ残されているということになります。

自作パソコンの過程でも、BIOS・UEFIはまず最初に目指す目標地点になります。

もしBIOSが起動できないなら、最小構成にして試す、これらハードウェアの問題を疑うということになります。

ソフトウェア

パソコンにおけるソフトウェアを大別すると、BIOS・UEFI、ドライバ、OS、応用ソフトウェアになります。

前述したBIOSやUEFIは、ROMにソフトウェアが組み込まれています。このような形態をファームウェアともいいます。

BIOS・UEFIでの確認の後は、OSドライバ応用ソフトウェアをインストールする作業になります。

メーカー製パソコンでは、この3つがパッケージ化されていてすぐに使えるようになっています。また初期化・リカバリーすると、OSとドライバ、Officeを除く応用ソフトウェアをセットにしてインストールしています。

自作パソコンでは、OSのインストール、その後 ドライバのインストール、最後に必要な応用ソフトウェアをインストールします。つまり、この3つは別々に考えて行います。

OSは Windows、ドライバは 主にマザーボードとグラフィックボード、応用ソフトウェアは MicrosoftのOfficeやウイルス対策ソフトなどです。

マザーボードには、チップセット、LAN、オーディオなど主要な機能が内蔵された集積回路です。これらの機能を有効にするためにドライバがあります。グラフィックボードも使う場合は、必ずドライバがあります。この2つは ドライバディスクが付いています。またメーカーのWebサイトでも、常に最新のドライバが公開されています。